アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

2019-08-18

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

このワンちゃんはどんなワンちゃん?

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア(Ilish Glen of Imaal Terrier)の原産地はアイルランド東部のウィックロー州イマール渓谷です。

「グレン・オブ・イマール・テリア(Glen of Imaal Terrier)」とも呼ばれることもあり、「グレン(Glen)」の愛称で呼ばれることもあります。

このワンちゃんの歴史はなに?

およそ17世紀ごろから存在していた古いテリア犬種のひとつです。グレンはどんなテリア種のかけ合わせによって生まれたのかということははっきりしていません。

しかし、1570年頃イギリスの女王エリザベス1世がアイルランドの反乱を鎮圧するため兵士をイマール峡谷に移住させ、この際に連れてきたハウンド種とアイルランドの土着犬を交配させて作り出されたのがグレンであるという説があります。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

グレンは猟犬、闘犬として、また機械を動かすなど様々な用途に用いられていました。 

グレンは地中でも地上でも狩りを行うことが出来ました。地中猟ではキツネやアナグマなどを狩っていました。

ハウンド犬は伴わず単独で狩りを行い、穴に潜って獲物を閉じ込めて戦い、倒して引っ張り出すという方法でした。このため、狭い地中でも動きやすくするために胴長短足に改良されました。地上ではネズミを獲るのに使われていましたが、野ウサギの猟に使われることもありました。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

合法な闘犬としても使われていました。これはグレンの飼い主が自分の愛犬の勇猛果敢さを自慢しあうために行われていたもので、優勝者には「猟犬育成金」として賞金も出されていました。

また、変わった使役にも使われていました。今は絶滅してしまったイギリス原産の犬種、ターンスピットのように肉を火であぶる機械を動かすためにも使われていたのです。

その機械の車軸をハムスターのように走って廻し、肉を刺した棒を回転させて、肉を万遍なくあぶらせるというものでした。がに股の前肢と力強い後ろ肢がこの作業を可能にしていました。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

この他、しわがれた吠え声の番犬として見張りにも使われるなど、多才な活躍ぶりを見せていました。

アイルランド原産の他の犬種、アイリッシュ・テリア、ケリーブルー・テリア、ソフトコーテッド・ウィートン・テリアとは血統的に異なるのも地理的な要因が大きいと考えられています。

イマール渓谷が辺境の地であったため、1800年代に行われたイギリス初のドッグショーに出陳されるまで、数百年間アイルランドのごく一部の人々にしか、この犬種の存在は知られていませんでした。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

1933年になるとアイルランドのケネルクラブに公認されました。アイルランド原産の4犬種のうち3番目に公認された犬種です。ショードッグとしてデビューしましたが、ショードッグとしての過度の改造が原因で犬質が悪化し、人気はすぐに低迷してしまいました。

そして戦争の影響もあり、1950年にはほぼ絶滅の状態となりました。犬種クラブまで解散してしまうという事態に陥ったのです。

しかし、僅かに使役犬として生き残っていた個体が発見され、それをもとに交配を行って復活させ、何とか残すことができました。

基礎となる生き残りの犬を発見するのが幸運にも非常に早かったためより原型に近い形で復活させることができ、1950年代中に犬種クラブを再結成させるまでに至りました。

その後他国でもその存在が知られるようになり、1994年にはFCIにも公認犬種として登録されました。現在でも珍しいテリア犬種の一つですが、広い国と地域で飼育されています。

原産国では、一部の犬は今も実猟のワーキング・ドッグとして使役されています(闘犬は禁止されています)。日本国内では近年仔犬は生まれていませんが、個人経由で輸入が行われて飼育されています。

このワンちゃんの特徴はなに?

猟犬としては大いに獰猛性を発揮しますが、今も昔もペットとして飼育されている時は優しい性格です。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

大人のアイリッシュ・グレン・オブ・イマール・テリアは胴長短足のテリア犬種です。

マズルは長く、マズルと額の間は平ら、首は少し太く頑丈で、背はほとんど平らです。耳は半垂れ耳もしくはボタン耳です。尾はふさふさした垂れ尾ですが、半分の長さに断尾されることもあります。

猟犬として使われる際は勇猛果敢で攻撃的な性格に変貌しますが、普段は人懐こく、子供も大好きで無邪気です。ペットとして出回っている犬の攻撃性は低いです。猟犬としての性格が発動するのはネズミやウサギなどを見た時や使役されている時で、それが終わると通常の性格に戻ります。

状況判断力は生まれつき良いといわれています。身体能力は見た目に反して良く、走るのも早いです。

しつけは小さな頃からやりましょう

仕事は猟犬でしたが、家庭犬としても多く飼われています。他の犬に対してはケンカを売ることもあり、勇敢であることから、番犬としての仕事もします。子どもと遊ぶことも大好きで、いい遊び相手になるはずです。わがままな面もあるため、厳しいしつけのトレーニングを仔犬の頃からおこなう必要があります。

アイリッシュ・グレン・オブ・イマールテリア

「テリアキャラクター」というテリア犬種特有の気性の荒さが特に強い犬種で、しつけの飲み込みはやや難しい面もありますが、遊びを交えながら行うことで身につけさせることができます。飼い主は厳しい中にも愛情を持って接するようにし、強いリーダーシップを発揮するよう心がけましょう。トレーニング方法を間違ってしまうと、命令に従わない無駄吠えの多い犬になってしまう恐れがあります。

運動量は普通です。胴が長いため椎間板ヘルニアにかかりやすく、抱き方には注意が必要です。胴長の犬種は片手で胸、もう片方の手で腰を抱えて持ちます。