アイリッシュ・ウルフハウンド

2019-08-18

アイリッシュ・ウルフハウンド

このワンちゃんはどんなワンちゃん?

アイルランドの国犬として名高いアイリッシュ・ウルフハウンド(Irish wolfhound)は、系統的にはグレーハウンド系に属す全犬種中最大の体高を持つ犬です。

このワンちゃんの歴史は?

アイリッシュ・ウルフハウンド

アイリッシュ・ウルフハウンドの歴史は古く、古代ローマ人が記録しています。大型の犬であるアイリッシュ・ウルフハウンドは紀元前273年前には存在していました。粗く硬質の被毛が特徴の犬種ですが、初期のウルフハウンドはグレーハウンドに似た短毛種であったと言われています。

紀元前14世紀から15世紀頃までにギリシアからアイルランドに渡ってきたと考えられ、アイルランドでさらに大型化しました。

その姿を見たら、一瞬にして虜になる

威風堂々とした姿はローマ帝国時代には首都(ローマなど。時期により異なる)へ貢物として献上されたほどです。

紀元391年にローマで初めてアイリッシュ・ウルフハウンドに関する記録が「すべてのローマ人が驚きの目で見た」と残されています。

アイリッシュ・ウルフハウンド

当時ローマの執政官キンタス・アウレリウスが、7頭を贈り物として受け取り、その威厳に満ちた風格と、闘技場で獰猛な獣と闘う勇敢さがローマの人々の心をとらえたようでした。

しかしその後の経緯について信頼できるものは見つかっていません。

アイリッシュ・ウルフハウンド

17世紀頃の絵画のなかには、現在のアイリッシュ・ウルフハウンドによく似た犬が描かれています。この猟犬たちは、昔から海外の貴族たちへの贈り物としてどんどん国外に出されていたのです。

1652年クロムウェルによってウルフハウンドの輸出が禁止された記録が残っています。

18世紀まではアイルランド農民に必要不可欠とされており、その大きな体でオオカミやキツネなどから家畜を守っていたとされています。

絶滅の危機にまでなるも、人に愛され、人を愛する「大きな犬」

しかし、アイルランドからオオカミが駆除(人為的絶滅)され、それと同時にアイルランド農民から必要とされなくなった上、1845年にアイルランド全土を襲った大飢饉の影響もあって、アイリッシュ・ウルフハウンドも絶滅寸前にまで追い詰められました。

アイリッシュ・ウルフハウンド

その後、19世紀後半1869年にG.A.グラハム大尉などの愛好家たちが絶滅寸前であった本種を保護し、他の犬種と交配させることに着手し始めます。

スコティッシュ・ディアーハウンドと交雑させることなどにより個体数を殖やしました。

なかでも「ブラン」という名前の、アイルランド最後の純血のアイリッシュ・ウルフハウンドを、スコティッシュ・ディアーハウンドやグレート・デーン、ボルゾイ、さらにチベットのオオカミ犬などと掛け合わせた犬が、1870年代にショーに出品した際に大評判となりました。

この時点で同犬の犬種標準が制定されましたが、現在ではこの標準よりも体高、体重がさらに大きくなっています。

アイリッシュ・ウルフハウンドはアイルランドで数々の武勇伝が伝えられています。その多くが自らを犠牲にして、狼から人(子供)を守ったというものです。

また、初期のアイルランド文学に、「アイリッシュ・ドッグ」「アイルランドのビッグドッグ」「アイルランドのグレーハウンド」「アイルランドのウルフドッグ」などの名で登場します。

このさまざまな犬種名で登場する「大きな犬」の意味の多くはアイリッシュ・ウルフハウンドのことです。

アイリッシュ・ウルフハウンド

「アイリッシュ・ウルフハウンド」というのは、最も新しい名前です。

この犬種の特徴は、

体は大きいが、スパニエルのように従順。

勇敢であるが、攻撃的ではない。

人間に近い知性をもつ犬。

など、オオカミやオオジカをしとめることができる比類なき猟犬としてだけではなく、実猟犬用途を超えた存在として永く親しまれてきた犬種なのです。

古代アイルランドでは、大型の猟犬は勇敢さを意味する「ク」という呼び名で知られており、アイリッシュ・ウルフハウンドも当時は「ク・ファオイル(勇敢な狩猟犬)」という名前で知られていました。

アイリッシュ・ウルフハウンドは現在、大型犬を飼うという大変さが手伝って、その人気は爆発的とまでにはなっていませんが、威厳ある堂々とした外観はたくさんの人々を魅了し中世の名声を保っています。

このワンちゃんの特徴は?

アイリッシュ・ウルフハウンド

この犬種の最大の特徴は、犬の中で最も大きいとされる体高80cmを超えていることです。アイリッシュ・ウルフハウンドはディアハウンドよりはどっしりとしていますが、それ以外はディアハウンドと似ています。

大きく、堂々たる外貌で、たいへん筋肉質で、力強く、また優雅な体躯構成です。頭部と頸は高く掲げられています。尾は先端が僅かにカーブし、上向きに伸びています。

硬い被毛は寒さや湿気、敵の牙から体を守る役目を果たしており、目の周りや顎の下は特に長く針金のような毛で覆われています。

動きはなめらかで、大きな体をしているにもかかわらず優美さを兼ね備えており、ゆったりとした優雅な足取りで歩きます。活動的で、オオカミより足が速く、全犬種中で唯一、単独でオオカミを倒すことができると言われています。

オスにおいては平均81cmから86cmが理想的な体高で、力強さと、活発さ、勇気と、釣り合いが取れていることは必須です。

大きいけど、人には優しい。

圧倒的な大きさと、野性的な外見から、恐い感じも受けますが、気性は穏やかであり、家庭で飼うには決して不向きではありません。主人に対しては、とても思いやりに満ちた愛情をそそぎます。また、状況判断が明確にできて従順な上、常に控えめなので、想像以上に扱いやすい犬です。

日本でも100頭ほどがペットとして飼われています。しかし、体の大きさに見合う食物量と寝床のスペース確保が飼育のために必要であり、かなり長時間の散歩も必須であるため、誰でも飼えるというわけではありません。

将来を見越して飼うという決断が必要な犬種です。

硬い場所などに寝かせ続けると、皮膚が硬くなってタコができてしまうこともあるので柔らかい寝床が必要です。

アイリッシュ・ウルフハウンド

子供や他のペット、さらには他の犬とも仲よく過ごすことができます。時には見知らぬ人に対して強い警戒心を見せたり、少々攻撃的に振舞ったりすることもありますので注意が必要です。

寒さには強い犬種です。寿命は5~7歳です。