アイスランド・シープドッグ

2019-09-28

アイスランド・シープドッグはどんなワンちゃん?

アイスランド・シープドッグ(Iceland Sheepdog)は、アイスランド原産の牧羊犬種です。単に「アイスランド・ドッグ(Iceland Dog)」という名前でも知られています。「フリーアー・ドッグ(Friaar Dog)」という別名もあります。

アイスランドでは数少ない固有種で、他のアイスランド原産犬種よりも沢山飼育されていて、原産地では非常に一般的な犬種です。

アイスランド・シープドッグの歴史は?

アイスランド・シープドッグは世界でもっとも古い犬種の一つであると考えられています。紀元前8000年頃のデンマークとスウェーデンの墓所からこの犬種とよく似た犬の骨が見つかっています。

874年にノルウェーからアイスランドに来たノルウェイジアン・ブーフント(Norwegian Buhund)が改良されて出来た犬種です。

羊やポニーを管理したり誘導する他、雪の吹きだまりに巻き込まれた動物を回収するために使われていました。

酷寒の中でも仕事が出来るように徹底した犬質管理が行われ、能力だけでなくルックスやサイズも千年近く前から固定されていました。

17世紀に英国に輸出され、そこで作業犬として、また家族のペットして高い評価を受けました。1869年、アイスランド・シープドッグに寄生する条虫が人間や羊に感染したため、この犬の全頭を課税対象とする法律が制定されました。

絶滅の危機を乗り越えて

1880年代までにアイスランド国内の頭数は半分以下にまで減少しましたが、この時期に同国を訪れたクラッベ博士の説明では、すべての農場には少なくとも2頭から5頭のアイスランド・シープドッグがいて、それ以上の頭数を抱える農場も多くあったということです。

しかし、1960年までにはジステンパーなどの伝染病の蔓延と政府の政策によって、アイスランド・シープドッグは絶滅の危機に瀕しました。

絶滅の危機に直面したころ、作業用としてアイスランド・シープドッグを入手するには馬1頭と羊2頭と交換しなければならなかったほど希少化が進んでいました。

この事態によりジステンパーなどの伝染病が流行した原因が調べられ、これらの菌を持ち込んだのは輸入された動物であった事が判明しました。

これを受けてアイスランド政府は1901年にアイスランド国内への動物の持込みを禁止し、このことがアイスランド・ドッグの存亡に更なる試練を課すことになってしまいました。

国内の本種は絶滅寸前でしたが、ノルウェーやスウェーデン、フィンランドには輸出された本種がいました。

そこでブリーディングが行われていたため、そこから逆輸入をしてブリーディング・ストック(繁殖用の犬)の増強が計画されていましたが、動物の輸入が禁止されてしまったためこの計画は断念せざるを得なくなってしまいました。

そこで、一時的な救済策として同じくアイスランドを原産とするそり引き犬種、ヤッキ・ドッグの血が加えられることになり、何とか犬種を存続する事ができました。

ヤッキ・ドッグの異種交配は最小限に止められ、頭数の回復後はそれの特徴を完全に取り除いて純粋なアイスランド・シープドッグを復活させる事ができました。

またアメリカでも繁殖が努力されたと言われています。

現在は、アイスランドの文化遺産の一つとしても認められ、人気も年々上昇していています。原産地と北欧以外にも輸出されるようになり、ヨーロッパ諸国や欧米などでも知名度の高い犬種の一つにまでなりました。世界的にペットとして人気のある犬種ではありますが、日本にはまだ輸入されていません。

アイスランド・シープドッグの特徴は?

この犬種はいわゆる北極犬と呼ばれているスピッツの仲間で、スピッツ種独特の直立した三角形の耳、たっぷりとしたダブルコート、背中に向かって巻き上がるふさふさとした尾をもっています。

長方形の体をした小さめの中型犬です。オスとメスは見た目がはっきりと違っています。

頭部は、横または上から見ると三角形をしていて、頭蓋が鼻口部よりやや大きめです。アーモンド形の目は黒または茶色の縁に囲まれ、鼻と唇の色も黒または茶色です。

背中は力強く水平で、胸は肘に向かって伸びています。正面または背後から見たときに、脚がまっすぐで平行でなければいけません。

足先は卵形に近く、つま先は引き締まったアーチ状になっています。すべてのつま先は狼爪でなければいけません。狼爪は二重になっていることがあります。アイスバーンの上でも丈夫な爪がスパイクの役割をし、滑らないようになっています。

被毛はミディアムコートとロングコートの2種類があります。ロングはポメラニアンなどと同じくらいの長さの被毛を持ち、ミディアムは柴犬などと同じくらいの長さの被毛です。上毛はまっすぐでやや波打っていることがあります。

被毛は厚く密生していて、二重構造のため防寒性が高く、寒さや風雨に非常に強いです。特にロングの場合、オスはメスに比べて被毛が深く、首回りのひだ状の厚い毛も多い傾向があります。

前脚の毛はなめらかで、後脚には羽毛状の飾り毛が生えています。毛色は黄褐色、茶色、チェストナット、フォーン・グレー、グレー、ブラック、ブラックで白斑が入っています。黄褐色とグレーの多くは、マスク(口吻や額の前にある被毛の色が濃い部分)が黒です。黄褐色では黒いサドル(背部の斑)は認められません。

白斑は不規則になる傾向があり、顔、ブレーズ(両目の間から鼻梁まで中央を通る線)、カラー(首回り)、足先、または尾の先端に見られます。その他の色仕様もスタンダートとして認められている場合があります。

自由に飼うこともワンちゃんの為になる?

ハーディング、追跡、アジリティー、ラリー、などの競技でもすぐれた能力を発揮しています。番犬、家畜の見張り、捜索と救出などの役割も果たします。

アイスランド・シープドッグの飼い主にとっての悩みの一つは、吠えることが大好きであるということです。何世紀もの間、吠えることで家畜を誘導してきました。

またアイスランド・シープドッグは生まれたばかりの子羊を襲おうとする猛禽類を吠え立てることで追い払ってきました。

こうした行動はこの犬が本来もっている本能であるといえます。飼い主の家に誰かがやってくると、喜んで一斉に吠え声を上げます。庭で頭上に鳥が飛んだりすると、きまって走り回ります。

なかには通常よりも吠える子犬もいて、この犬を何匹か飼っている家では、一匹が吠えだすと他の犬もつられてすぐに吠え出します。アイスランド・シープドッグは本来、自分の縄張りに危険を感じたときには吠えますが、普段は静かな犬です。

子犬のうちから、吠えるべきときとそうではないときを判断できるようにトレーニングすることが賢明です。トレーニングを繰り返すことによって、吠えて良いタイミングを理解できるようになります。

トレーニングは一般的に簡単ですが、穏やかな性質のため、手荒な扱いをしたり厳しすぎたりしてはいけません。

しつけが難しいこともあります。穴を掘ったり、高い所によじ登ったり、飛び跳ねたりすることが好きです。逃げ出さないように、柵や門に沿ってコンクリートを敷き詰める必要があることもあります。

庭に穴掘り専用のエリアを作って「好きなこと」を自由にできるようにさせてあげても良いでしょう。そうしないと、木や茂みの下を掘り返して、快適な寝床を作ってしまうかもしれません。

旅行のパートナー、またジョギングパートナーにも適しています。

子供好きで寂しがり屋

ひとりぼっちでいると不安がる傾向があるため、たくさんかまってあげる必要があります。長時間家を留守にしなければならない場合、仲の良い動物と一緒にさせてあげることが勧められています。

この犬種は子供が大好きです。子供にいたずらをされたりすると、攻撃的になるのではなく、その場から立ち去ります。

周囲との関わり方を十分に身につけていると、一般的に知らない人や他の犬またはペットとも仲よくなります。

集合住宅での飼育にはあまり向かず、平均的な広さの庭があると良いでしょう。

抜け毛は季節に応じて多いとされています。

体が丈夫で遺伝的にかかりやすい病気がありません。飼育しやすいですが、暑さにだけは弱いので、涼しい地域に適しています。